特定技能の転職~建設業における特定技能の転職についても解説~

最終更新日:2021年05月10日 執筆日:2021年05月06日

2019年4月に特定技能制度が施行され、現在は少しずつ認知され始めてきました。特定技能は外国人の技能習得を目的としている技能実習とは違い、転職が可能な制度です。
今回は特定技能の転職について、登録支援機関、受け入れ企業、特定技能有資格者それぞれの目線を交えながら解説していきます。

また、建設業界での特定技能の扱いは他の職種と違い、特殊な部分もあるためそちらもあわせてご説明いたします。

 

特定技能の転職の流れ

まずは転職のおおまかな流れについてご説明していきます。

1:特定技能外国人の新しい就業先での雇用が決定したら特定技能雇用契約書の締結を行います。

2:新たな受け入れ企業は特定技能外国人を雇用する際に必要な申請書類を作成し、出入国在留管理庁に在留資格変更許可の申請を行います。
※1年以内に特定技能外国人を受け入れている場合は、一部の申請書類は提出不要になります。

3:旧受け入れ企業は「特定技能雇用契約に係る届出」と「受入れ困難に係る届出」という2つの届出を、出入国在留管理庁に申請します。
この2つの届出は特定技能外国人が退職した元の企業に提出義務があります。
特定技能外国人は、旧受け入れ企業側に退職の意向を14日前までに申し出る必要があります。並行して、新しい受け入れ企業への引っ越しの準備を行います。
出展:出入国在留管理庁『特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出』

4:在留資格変更許可申請の認定許可が下り、新しい在留カードが発行された日から就業が可能となります。特定技能外国人は会社の退職時と新しい会社に入社決定時、それぞれ14日以内に出入国在留管理庁で「所属(契約)機関に関する届出」を行う必要があります。
出展:出入国在留管理庁『所属(契約)機関に関する届出』

転職にかかる期間

特定技能外国人の転職は、日本人の転職のようには簡単には行うことができず、在留資格変更許可申請も、通常の在留資格変更と同じ手順で行う必要があります。
在留資格の変更は、申請から交付まで最短でも1ヵ月〜2ヶ月程度の時間がかかります。
そのため、転職先が決定してもすぐに就労が開始できないため、受け入れ企業は雇用が決定すれば、早急に必要な申請書類の準備を開始することが内定後の辞退を防ぐために大切です。
在留資格変更の許可が下りるまでは就労が開始できないことについては面接時にしっかりと説明を行い、外国人本人から承諾を取っておくことをおすすめします。

転職できる職種

特定技能外国人が転職する場合は、原則として、現在交付を受けている特定技能の資格と同じ職種でのみ転職することができません。
ただし、分野を超えて通用するような技能を外国人が取得している場合は、例外的に他業種への転職も可能です。
まずは、特定技能外国人が保有している資格と企業側が求める技能が合致しているか、面接前にしっかり確認しておくことをおすすめします。

旧受け入れ企業が認識すべき注意点

企業に雇用されている一般的な正社員の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができます。また、会社の承認がなくても、民法(明治29年法律第89号)の規定により退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、退職することができます(民法第627条第1項)。

また有期雇用契約を結んでいる場合、1年以内は原則としてやむを得ない事情がないかぎり退職できないとされています。
特定技能外国人は無期雇用、有期雇用、どちらで雇用することも可能ですが、特定技能の在留資格が最大1年ごとで更新が必要なため、それに合わせ雇用契約も1年ごとの有期雇用契約が結ばれることがあります。

特定技能でも有期雇用である場合、原則1年間は自己都合で退職することはできませんが、契約期間満了前であっても勤続年数が1年を超えている場合や、やむを得ない理由がある場合は、退職が可能です。

新受け入れ企業が認識すべき注意点

特定技能外国人を新しく受け入れる企業は即時解除と帰郷旅費についての認識も持っておくことが大切です。
外国人に限らず、労働者には雇用時に明示された労働条件が事実と異なる場合、契約をすぐに解除する権利があります。(労働基準法第15条2項「即時解除」)

そして、外国人の方がこれを行って14日以内に母国へ帰る場合、そのための費用は会社が負担するものと定められています。(労働基準法第15条3項「帰郷旅費」)

転職・退職の抑止について

現在、特定技能外国人の受け入れは、技能実習生として受け入れていた外国人が技能実習修了後、特定技能ビザを取得しそのまま同じ企業で就労すると言うパターンが一番多く、一般的です。

技能実習中にその企業のルールや空気感を理解しているため、新たに人材を育てる必要がなく、即戦力として活躍してもらえるため、企業側、外国人側どちらにとってもメリットは大きい方法でしょう。
ですが、技能実習生を受け入れている企業で、特定技能への移行を希望する実習生がいない企業や、技能実習修了者が少ない企業などは特定技能制度を利用しても外国人が定着するには様々な課題をクリアする必要があります。

日本人、外国人関係なく、賃金規程、人間関係などの就労環境を適切に整え、労働者が働きたいと思える環境を提供し、また労働条件や業務中の細かな指示など、外国籍の方にも理解できる内容や言語での説明を行える環境をいかに準備するのかも重要になります。

建設業界の特定技能転職について

特定技能の中でも建設業界においては、申請のフローが他の職種とは少し異なります。
出入国在留管理庁に在留資格変更許可申請を行うことと並行して、国土交通省管轄の特定技能受入計画を申請し、認定を受ける必要があります。
※特定技能有資格者をすでに受け入れている場合、特定技能受け入れ計画のオンライン申請は手続きが簡単になります。

  建設特定技能受入計画 オンライン申請添付書類一覧(在留期間満了日の半年前から申請可能)  

  • 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)※申請日より3ヶ月以内発行のもの
  • 建設業許可書(有効期限内のもの)
  • 常勤職員数を明らかにする文書(社会保険加入の確認書類)
  • 建設キャリアアップシステムの事業者IDを確認する書類
  • 特定技能外国人受入事業実施法人に加入していることを証する書類(会員証明書)
  • 取次資格を有することを証する書類の写し(取次申請を行う場合のみ)
  • ハローワークで求人した際の求人票(申請日から直近1年以内。建設・土木の作業員の募集であること)
  • 同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書(国土交通省ホームページからダウンロード)
  • 就業規則及び賃金規程(労働基準監督署に提出したものの写し。常時10人以上の労働者を使用していない企業であって、これらを作成していない場合には提出不要)
  • 同等の技能を有する日本人の賃金台帳(直近1年分。賞与を含む)
  • 同等の技能を有する日本人の実務経験年数を証明する書類(経歴書等。様式任意)
  • 特定技能雇用契約書及び雇用条件書の写し(全員分)
  • 時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届)、変形労働時間に係る協定書、協定届、年間カレンダー(有効期限内のもの)※変形労働時間採用の場合のみ
  • 雇用契約に係る重要事項事前説明書
  • 建設キャリアアップシステムの技能者IDを確認する書類


出展:国土交通省『建設特定技能受入計画のオンライン申請について』

 新・旧受け入れ企業それぞれが行う手続き

新受け入れ企業
  • 外国人就労管理システムにて、変更申請で新たに受け入れる外国人の登録
  • 受け入れ完了後に、受け入れ報告書の申請
旧受け入れ企業
  • 外国人就労管理システムにて、変更申請で受け入れ人数の変更と、退職報告書の申請

旧受け入れ企業が退職報告書等の対応をしない場合は、国土交通省より旧受け入れ企業側に指導が入るため、迅速な対応が必要です。
また旧受け入れ企業が、退職報告書等の対応を行わない場合でも新受け入れ企業の申請は可能です。
※旧受け入れ企業が申請を怠るなど不当な対応などがあった場合は、一般財団法人国際建設技能振興機構(FITS)の母国語相談窓口に連絡も可能です。

まとめ

今回の記事では、特定技能の転職や建設業界における転職時の対応などについて解説いたしました。

特定技能外国人の転職は、必ず行わなければならない申請手続きが多く、また承認までに時間を要することも多いため、入社辞退を避けるためにも迅速に対応することが大切です。
特定技能外国人の転職者受け入れを検討する際に各種手続きの準備も並行して計画的に進めることをおすすめします。

本記事の内容について、外国人雇用に関するご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。

 

この記事を書いた人

金谷 亮佑

アパレル企業でバイヤーとして13年務めた後、販売・接客の人材派遣業などを展開する株式会社ウィルオブ・ワーク(旧セントメディア)に入社。 新規営業・コーディネーター業務を経て、外国人の就労支援に関わる。その後、関西から東京に転勤し、本格的に外国人留学生の就労支援事業に携わる。 現在は、グローバルキャリア職業訓練法人にて、技能実習生の監理団体の運営及び、技能実習生の建設業に特化した就労支援・サポートを展開。コンサルタントとして、常に問題解決を意識した提案営業を心掛け、お客様の就職支援をサポートできるよう努めている。

Page Top