第1回【全3回】 技能実習生受け入れ企業に必要な知識 ~基礎知識~

最終更新日:2021年02月12日 執筆日:2021年01月14日

技能実習を始めるために必要な体制

技能実習生を受け入れる際、実習生が適切な環境で実習を行うことができるよう、企業側は社内の体制を整備しておかなくてはいけません。
主に下記の5つは必ず必要な項目となっています。

1.36協定の締結

36協定とは、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」のことを指します。
会社が従業員に法定労働時間を超えて労働させる場合、または法定休日に労働させる場合には、労働者と会社の間で「時間外労働・休日労働に関する協定書」を締結し、別途「36協定届」を労働基準監督署に届け出ることが原則となっています。
技能実習では適切な労働環境が企業に求められるため、週40時間以上の実習をする場合等は必須の条件になります。

2.就業規則

就業規則とは「職場のルールブック」のようなものであり、その職場のマナーやルール(服務規律)、働いた場合にもらえる給料などの待遇を定めた労働条件が記載されています。
万が一、社員と労務トラブルが起こった場合にも会社を守ることができます。

技能実習においても安定した労働環境下での実習が求められるので会社としての規則を明確化されている就業規則は必須になります。
当社では、外国人の方にも就業規則を正しく理解していただき、社内でのトラブルを未然に防ぐため、就業規則を母国語に翻訳することも可能です。

3.労働条件通知書

労働基準法施行規則などにより、会社が被雇用者に明示しなければならない労働条件事項は定められており、その事項を整理したものが労働条件通知書です。
技能実習も同様に労働条件通知書は必須になります。

4.寄宿舎の計画書の提出

企業として寄宿舎を所有している場合、名義が個人名義か会社名義かの確認が必要になります。
会社名義で下記の条件のどちらかにあてはまる場合は、寄宿舎の計画書のコピーの提出が必須になります。

  • 従業員数が10人以上の企業
  • 危険有害業務を行う企業
    危険有害な事業とは、下記の業務に該当する事業になります。
    1.使用する原動機の定格出力の合計が2.2キロワツト以上である法別表第1第1号から第3号までに掲げる事業
    2.次に掲げる業務に使用する原動機の定格出力の合計が1.5キロワツト以上である事業
      ・プレス機械又はシヤーによる加工の業務
      ・金属の切削又は乾燥研磨の業務
      ・木材の切削加工の業務
      ・製綿、打綿、麻のりゆう解、起毛又は反毛の業務
    3.主として次に掲げる業務を行なう事業
    ・別表第4に掲げる業務
    ・労働安全衛生法施行令第6条第3号に規定する機械集材装置又は運材索道の取扱いの業務
    4.その他厚生労働大臣の指定するもの

    厚生労働省『労働基準法施行規則』より抜粋

5.社会保険加入

社会保険に関しても技能実習生の加入は必須です。
※技能実習では、企業の従業員数に合わせて受け入れ可能な技能実習生の人数が決まります。
従業員数とは自社の社会保険に加入している方であり現場作業員をしている人数とされています。そのため、建設分野では一人親方労災保険等の加入者及び協力企業は従業員にカウントされません。

労働保険の基礎知識

労働保険とは

労働保険とは労災保険と雇用保険を総称した言葉です。
労働保険は農林水産省の事業の一部を除き、パート・アルバイトを含めた労働者を1日1人でも雇っていればその事業主は必ず加入手続きを行わなければならない保険です。

労災保険とは

労災保険とは、労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷、病気あるいは不幸にも死亡された場合に、被災労働者や遺族を保護するため必要な保険給付を行うものです。
※パート、アルバイトを含めた労働者はすべて加入しなければなりません。

雇用保険とは

雇用保険とは、労働者が失業した場合や労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、再就職を促進するため必要な給付を行うものです。
※労災保険加入者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ31日以上の雇用見込みがあれば必ず加入しなければなりません。

労働保険の加入手続き

労働保険は事業の種類により、一元適用事業と二元適用事業に区別され、加入手続きが異なります。
■一元適用事業
労災保険と雇用保険を合わせて 一つの労働保険として取り扱うもので、二元適用事業以外のすべての事業が該当します。
加入の際は、労災保険、雇用保険の成立届、概算保険料申告書を労働基準監督署へ提出します。

出展:労働基準監督署・公共職業安定所

■二元適用事業
労災保険と雇用保険を別々に取り扱うもので、次の事業が該当します。

  • 農林水産の事業
  • 建設の事業
  • 港湾労働法の適用される港湾において行う事業
  • 都道府県及び市町村並びにこれに準ずるものの行う事業

一元適用事業との違いは、労災保険と労働保険の提出書類の提出先です。
労災保険の成立届、概算保険料申告書は労働基準監督署へ提出し、労働保険の成立届、概算保険申告書は公共職業安定所へ提出します。


出展:労働基準監督署・公共職業安定所

加入手続きを怠っていた場合

労働保険は、政府が管理運営している強制的な保険であり、原則として労働者(パート・アルバイトを含む)を一人でも雇っていれば、事業主は労働保険の加入手続を行い、労働保険料を納めることが義務付けられています。
事業主が故意又は重大な過失により労災保険の加入手続を行っていない期間中に労働災害が発生し、労災保険給付を行った場合は、事業主から労働保険料をさかのぼって徴収するほかに、労災保険給付に要した費用の40%、場合によって100%を徴収することになります。

まとめ

今回は技能実習生を受け入れる際に企業側が対応するべき5つのポイントと労働保険についてご説明させて頂きました。
いずれも技能実習を適切な労働環境で行うための基礎的な部分になります。
労働保険は1日1人でも雇用していれば加入は義務付けられており、万が一事故等が起こった時に保険未加入だった場合、企業が問われる責任は大きく、保険に関する知識は必要なものになります。
次回は労災保険についてより詳しくご説明させて頂きます。

今回ご説明した5つのポイントと労働保険の基礎知識をしっかりと抑え、技能実習生や企業様がより良い技能実習を行えるように心がけましょう。

この記事を書いた人

鶴田 一成

鶴田 一成

グローバルキャリア職業訓練法人にて建設業界の技能実習の監理事業を行っております。 昨今、外国人雇用での問題や生産労働人口の減少などの様々な問題が日本には存在します。 私は技能実習生、受入れ企業が満足する技能実習をお届けし、技能実習・外国人雇用を通して、 日本や技能実習生の母国の未来を創りたいという思っております。

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