留学生を採用する企業の傾向

留学生を採用する企業といえば、これまでは、海外進出を目指している企業や、すでに海外に拠点を構えている企業が中心で、翻訳・通訳または、エンジニアとしての採用がほとんどでした。

しかし近年、留学生を採用する企業の多くは、国籍を問わず優秀な人材を採用したいという考えで、通訳などの特殊なポジションでなくとも、留学生を採用することに抵抗が無くなってきています。

留学生の採用を進める業界は様々で、「事業のグローバル化を見通して」、「外国人観光客に対応するため」など、世界を見据えている企業から採用活動に踏み切っています。そのなかでも特に留学生を積極的に採用しているのがホテルなどの観光業界です。

留学生は、母国の事情と日本の事情の両方を理解していますから外国人観光客への接客には最適と言えます。2020年に向けて急速にインバウンド需要が伸びる観光業界にとって、留学生を採用しない手は無いのです。観光業界は業界全体で「優秀な人材を確保する」という意識も高く、アルバイトとして活躍していた留学生を、そのまま新卒社員として採用するケースも少なくないようです。

難しいと言われるビザの申請も緩和傾向に

留学生を新卒の正社員として採用する場合、『留学生ビザ』から『就労ビザ』への変更が必要になります。「外国人を雇用するとビザの手続きが難しい」という企業の声が聞こえてきそうですが、まさにこの切り替えの手続きが面倒で難解と言われる要因なのです。

しかし、政府によるインバウンド政策や留学生30万人計画など日本全体のグローバル化の影響を受けて、ビザの管理や運用を行う入国管理局も少しずつ柔軟な対応をするようになってきています。
例えば、販売業務は単純な肉体労働にあたるために、これまでは申請が認められませんでしたが、外国人の顧客が多い店舗など必要性に応じて認められるようになってきました。もちろん販売だけでなく、同様の内容で飲食店やホテルなど観光業界にも同じ事例は増えていくでしょう。

これまでビザ申請の難しさから留学生の採用を敬遠していた企業も、再度検討し直すことをおすすめします。

留学生の採用は人事異動も見据える必要がある

ビザに関する手続きが必要なのは入社時だけではありません。たとえば、技術ビザで採用した留学生を、人事異動で国際業務に就かせる場合、ビザ変更の手続きが必要になるので覚えておきましょう。

また、将来的な異動を見通して留学生を採用する場合は特に気を付ける必要があります。留学生を採用するにあたり海外と日本をつなぐ役割を求めるのは自然なことです。バイリンガルな日本人は、まだまだ少数派ですから、できれば将来的に留学生の母国である現地に滞在してもらって、日本とのやり取りを担ってほしいという企業も少なくはありません。

しかし、日本に暮らす外国人は、多くの場合“10年以上の滞在のうち5年以上就労ビザを持って働いていれば”永住権を得られることをご存じでしょうか?(条件により期間が異なります)つまり、日本語学校に2年通い、その後、大学に4年間通った留学生の場合、新卒入社してから5年後には永住権が認められる可能性が高いのです。

永住権を求めている留学生は少なくないので、企業が数年先の海外進出に向け、海外に常駐する社員として留学生を採用したとしても、「日本で働きたい」と異動拒否をされるというケースは十分にありえます。後々のトラブルにならないように、採用する際にはしっかりコミュニケーションを取り、お互いの意思をはっきりさせておく必要があります。

まとめ:外国人と働くことが当たり前の時代に

日本のグローバル化が進み、業界を問わず多くの企業が留学生の採用を進めています。とはいえ、ビザの手続きや採用フロー、採用後の接し方など、戸惑う部分が多く、「うちはまだまだ…」と足踏みをしている企業もまだまだ存在します。

しかし労働人口の減少やインバウンド需要の増加など、日本が抱える問題に対して、今後、留学生が大きな助けとなることは間違いありません。日本人の採用とは違い、手間がかかる部分もありますが、いまの内から留学生を採用するベースを整えておくことは、決して損にはならないでしょう。

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