はじめに

製造業界全体で機械化が進む中、まだまだ人の手を必要とするのが食品製造です。商品を安定的に出荷するためには、人材不足を継続的に解決していかなければなりません。そんななか留学生の採用は有効な手段のひとつですが、まだまだ踏み切れない企業が多いのが現状です。

一方で、同じ食品を扱う飲食業界は、急激に留学生採用を進めています。大手牛丼チェーン各社では外国人用の教育カリキュラムを充実させ、積極採用を実施。留学生を含め外国人の雇用推進を加速させています。

この2つの業界の違いとは何なのでしょうか。今回は食品製造業界の不安と実情にスポットをあててご紹介していきます。

留学生を採用するための準備が整わない

食品工場の採用担当者にヒアリングしてみると、留学生の採用が進まない一番の理由は、意外にも”言葉の壁”ではありませんでした。幾つかの食品工場で共通していたのは「品質レベルが担保できるのか」という不安です。

日本は世界的に見ても品質基準が高いことが知られています。食品工場では製造現場に入るまでに、手洗いをはじめとする幾つものルールが定められ、衛生管理が徹底されています。そうした環境に各国の外国人が適応できるのかという不安が大きいようです。

食品工場では、異物混入などの品質トラブルは大打撃となります。例え人材不足であっても、留学生を採用して品質レベルが担保できると確信できるような研修やルール作りができるまで、採用ができないと語る担当者が多かったのが印象的でした。

共有スペースが足りない

留学生は基本的に週28時間の労働しか許されていません。そのため、1日8時間の労働者を必要とする食品工場であった場合、4時間+4時間で1工数2名の留学生を採用して対応するのが一般的です。

例えば日本人10名の不足を留学生で対応しようとすると、倍の20名を採用しなければなりません。もちろん制服の手配やシフトを組む工数まですべて倍必要になります。また、最大の問題はロッカーが足りなくなるということです。

では、すでに留学生を採用している食品工場はこの問題をどうクリアしているのでしょうか。2名で1つのロッカーを使用する、会議室など空いている部屋を臨時ロッカー置き場にするという意見があるなか、レンタルロッカーを用意しているという食品工場も。

課題に対応する手法としては多くあるものの、やはり日本人の採用であれば発生しづらい課題なだけに、腰が重くなる企業が多いのは仕方ないのかもしれません。

過去に雇用していたがトラブルになった

なかには過去に留学生を採用したことがあるがトラブルになり、会社方針としてNGとなったという食品工場もありました。

トラブルの度合は大小さまざまですが、同じ職場の人が持参したお弁当を食べてしまうなど、日本人の常識やモラルでは考えにくいことが起こるケースがあるようです。

当然、日本人と同じように、彼らの中にも色々な性格の人がいます。全員がそういう行動をするわけではないと分かっていても、たった1人のトラブルが外国人の雇用をストップさせるということに繋がってしまいます。

まとめ:「少人数から…」といった食品工場が増加中

業界を問わず人材不足が深刻化する昨今、飲食業界や食品製造業界は外国人の雇用を着実に進めています。

品質を担保するための体制を整えて、やっと外国人の雇用に踏み切ったという企業も少しずつですが増えており、一度トラブルがあった企業も、まずは「2名から」と少人数の雇用で再トライしている工場も。なかには3名スタートから20名以上まで増員して採用したという事例もあるなど、外国人の雇用は注目されています。

労働人口の減少が問題視される日本では、今後「人が集まらない」という課題を解決する手段が限られてきています。不安を抱える企業も、人材不足を解決するための手段のひとつとして、一歩踏み出してみることをお勧めします。

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