留学生が国内企業の新入社員として働くためには、もちろん就職活動をせねばなりません。ここでは、留学生の就職活動について学生側と企業側で何をするべきかを説明します。さらには働き先の企業が見つからず卒業を迎えてしまった外国人留学生が、就職活動を続けるための方法も紹介しますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

留学生が企業で働くためにはビザ変更が必要

毎年4月頃になると日本人同様多くの留学生が企業に就職します。しかし、留学生が企業で働くためには資格の変更が必要です。特に企業へ入社する直前の2月~3月は、留学用のビザから「就労ビザ」へ変更する手続きをするため入国管理局が非常に混雑する時期ともいえます。

卒業後も就職活動を続けるためには?

日本の大学を卒業したり、専門学校で専門士の称号を得た留学生が、そのまま日本国内の企業に就職することは往々にしてあります。

しかし、残念ながら就職先が見つからずに、卒業後も日本に残って就職活動を続ける留学生もいます。その場合は入国管理局にて、留学ビザから特定活動ビザへの変更手続きを行う必要があります。

対象は、大学(短期大学や大学院を含む)や専門学校を卒業した者で、かつ卒業前から行っている就職活動を続けるために日本への在留を希望する外国人です。

もちろん、学校からの推薦状が必要であったり、専門過程における修得内容(技術、人文知識など)が就労に係るいずれかの在留資格に該当する活動との関連性などいくつかの条件を満たさなければなりません。

条件を満たし申請が認められた場合、留学生は卒業後も引き続き6か月間、日本で就職活動を行えます。また特定活動ビザは1度だけ更新が可能なので、最長で1年間の猶予があるということになります。

【出典元】法務省:特定活動9

また、特定活動9号の他にも、外国人留学生の卒業後にアルバイトから正式に新卒採用するために必要な「特定活動46号」もあります。

卒業後に日本で就職するために必要な特定活動46号とは

特定活動46号とは、日本の大学や大学院を卒業した外国人がそのまま日本で就職するときに必要な在留資格です。卒業後に日本で就職する外国人を増やすために、2019年5月に新たに設けられました。

特定活動46号の取得に必要な条件

 

(1)学歴

日本の大学または大学院の過程を終了し、学位を授与される必要があります。

(2)日本語能力

「日本語能力試験N1」、「BJTビジネス日本語能力テストで480点以上」、「大学などで『日本語』を専攻して卒業・修了した」、「外国の大学などで『日本語』を専攻した(加えて日本の大学、大学院を卒業・終了した)」のいずれかの条件を満たす必要があります。

(3)常勤で採用される

正社員や契約社員、フルタイムパート、業務委託などは問わず、常勤で採用されることが条件です。

(5)契約機関の業務に従事すること

契約期間の業務への従事のみが認められるため、派遣社員として派遣先での就労活動は行えません。

(6)報酬

日本人と同等以上の報酬を受け取ることが条件です。報酬額の目安は月額18万円以上とされていますが、地域や業界、業務内容で異なります。

(7)勤務先に安定性と継続性がある

勤務先会社が十分な報酬を支払えるだけ安定しており、それが継続することが見込まれる必要があります。

(8)そのほかの条件

十分な仕事量が割り振られ、適切な勤務場所が確保されていることも条件です。また、素行不良だと特定活動46号を取得できないケースがあります。

留学生採用時のビザ切り替えに必要な書類や手続き

外国人留学生は、在学中は留学ビザで滞在しています。卒業後に日本での就職が決まった場合は在留資格(ビザ)の種類を切り替えなければなりません。

手続きの流れ

出入国在留管理庁に必要な書類を提出し、切り替え手続きを進めてもらいます。原則、本人が申請しますが、雇用証明などを含めた申請書類の準備には企業側の協力も必要です。

必要な書類・準備

在留資格変更の申請では、以下の書類を提出します。

在留資格変更申請書(法務省サイトでダウンロード可能)
在留カード(外国人登録証明書を含む)
  • パスポート
  • 履歴書
  • 学校の卒業証明書または卒業見込証明書(原本)
  • 入国管理局宛の申請理由書
  • 住民票
  • 納税・課税証明書(近年は先出することが多い)
  • 雇用契約書(雇用契約の締結が必須)
  • 会社の登記簿謄本=履歴事項全部証明書(原本提出)
  • 会社案内またはホームページの写し

注意点

ビザ変更の申請時には以下の点に注意しておきましょう。

留学中の専攻と業務の関連性を明記する

外国人留学生の留学中の専攻分野と業務内容がかけ離れていると許可が降りないことが多いようです。仕事内容については申請書類のなかで、専攻との関連性が分かる形で記載しましょう。

外国人人材の賃金が低すぎると申請がとおりにくい

外国人人材を雇用する際には、同じ業務に従事する日本人と同等かそれ以上の賃金設定をしましょう。外国人労働者だから安く雇えると勘違いした雇用は危険です。

書類を完璧に揃えて提出する

提出すべき書類に不備があると承認までの時間がかかるだけでなく、申請が却下されるケースもあります。準備に時間がかかる書類もあるため、できるだけ早めに手配を進め、抜けや漏れのない申請手続きをしましょう。

特定活動46号について、こちらの記事でさらに詳しく紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

企業側は採用にかける時間を考慮しよう

いくら人材不足といえど、日本人の学生ですら採用を勝ち取るのが困難な時代です。それが留学生となれば、なおさら採用のチャンスをつかむのは難しいでしょう。留学生は選べる職種にも限りがありますから、希望にマッチングする企業で採用されるには相当な努力と時間が必要なのです。

とはいえ就職が決まらなかった留学生は、卒業後に特定活動ビザに切り替えたとしても最長1年間という短い猶予しか残されていません。留学生の採用を考えている企業は、採用にかける時間にも配慮すべきでしょう。

また卒業後1年以内に採用が決まっても、そこで安心できるわけではありません。留学生を採用した場合、就労ビザへの切り替えが必要になります。

当然、切り替えには一定の期間がかかります。「もう申請しているのだから」とビザの切り替えが完了する前に留学生を働かせてしまうと不法就労助長罪の対象となる場合があります。

入社までに間に合わなかった場合、申請が完了するまで業務には就かせられなくなりますので気を付けましょう。

入社までの期間が空いてしまったら

卒業後に特定活動ビザを取得して就職活動をしていた留学生を12月に採用したが、入社は4月にしてほしい。そうした場合、1年の猶予があるのだから問題ない…というわけではありませんのでご注意ください。

実は特定活動ビザを取得して就職活動をしている留学生は、内定が出た時点で「就職活動」という名目での特定活動に該当しなくなるのです。 入社日までの4か月間は「内定待機」という目的の特定活動ビザに該当しますので、採用担当者は留学生にきちんと申請するようアナウンスしましょう。

まとめ:卒業後は速やかに特定活動ビザへ変更しよう

留学生が卒業後に就活を続けるには、特定活動ビザへの切り替えが必要です。また、日本で就職するときに必要な特定活動ビザ46号を取得するために、すべての条件を満たす就職先を見つけましょう。

また、内定が出たら「内定待機」の特定活動ビザに切り替えるなど、卒業後は頻繁に手続きが必要になります。不法滞在や不法就労を防ぐためにも、円滑にビザを切り替えましょう。

 
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